●製作日 |
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平成22年10月 |
●製作日数 |
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約1週間 |
●製作の動機 |
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以前から木工をやるならスツールを作りたいと思っていたところ、「はじめての椅子作り」(加藤晴子著・山海堂)という本に掲載されていた、シートウィービングで作る椅子に惹かれ、作ってみる気になった。 |
●材料 |
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角材(脚用、幕板用、貫板用)、ペーパーコード(30m)。脚用の木は、近くの木材の店で物色して、色がよいのと、硬くて丈夫そうだったのでサペリという種類の木を選んだ。幕板、貫板はチークなどの材を購入。ペーパーコードは、通常のラッシュだと、初心者には編むのが手間で難しいかなと思って、幅18mmの厚手の丈夫そうなものを選んだ。
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●作り方 |
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- 各木材を長さに切断する。
- ホゾ穴をあける。角ノミ機などの電動工具はないので、ドリルで穴を空け、ノミで四角いほぞ穴に仕上げた。垂直にぴったりの大きさのホゾ穴にするのは結構手間で、電動工具があったら、と言うか、それ以前にDIYの専用スペースが欲しいと思った。
- ホゾ穴の箇所は、全部で14箇所。それぞれ場所によって木の太さが違うので、穴のサイズを間違えないように順番に空けてゆく。1日ではできず2日に分けて作業した。
- ホゾを切る。これも、テーブルソーなどの電動工具がないので、手工具で作る。切る箇所に墨付けした後、まずノコギリで墨の位置よりも少し大きめに切って、その後、現物のホゾ穴に当てながら、ノミでぴったりになるように削ってゆく。削りすぎるとガタついてしまうので、少しづつ削らないといけないが、削らないと入らないのでついバッサリ削りたくなる。落ち着いて少しづつ進めるしかない。好きなことなので楽しいのだが、それでもちょっと修行しているような気がしてくる。14か所。
途中途中で組み合わせて出来具合を確認しながらやっていく。
- 全て組みあがったら、一旦バラシて、各材を表面処理。まず#80で角を取った後、#240で表面を整え、#400で仕上げ。
- 本組み。木工用ボンドで接着する。ボンドが乾くまでしっかり固定しておかないといけないので、ベルトクランプを2本購入。上部と貫の部分を固定した。また、脚が床にぴったり着いた状態で固定するために、上から和室のテーブルを乗せて重しにして約1日置いた。
- 塗装。ウッドオイルを3度塗りする。表面をきれいに拭いた後、1回目はたっぷり塗り、15分放置後、2回目。1回目より薄く塗った後、若干濡れた状態で、#400のペーパーで丸を描くように磨き、ウェスで拭き取る。この状態で12時間以上放置。いずれの作業も日向はNG.日陰でやる。3回目は仕上げなので、薄めに丁寧に塗る。乾かして塗装は完了。
- 布(不要になった古いシーツを使った)で表面を磨く。うまく塗装できているといい感じにツヤが出る。選んだ木の色がいいのか、とても良い感じの色になった。
- 座面を編む。まず、端を釘(小)で留め、最初に前後方向に編む。なんとなく、方向性を出すために、前後方向には、2本並べて1本分空ける。前後の木に巻き付けるので、木の上側と下側に2枚の面ができる。
- 左右方向を編む。今度は、前後のコードをくぐらせながら編んでゆく。左右は1本づつ。こうすることで、なんとなく横方向に方向性が出て良くなった気がする。2枚の面の上面を編んだら、同様に下面も編み、次の列の上面を編んで行く。
今回使った平たいコードでは、編むとき、コードの面が重要。何も考えずにやるとよじれてしまってうまくいかない。コードを足で踏んで、面が回転しないようにしながら編む。
最後まで編んだら、裏面で目立たないように折り返して留めておくだけでOK.これだけ編み込んであればほどけることはない。
- 最後に、置いたときに床を傷つけないためと、置く時に音がしないため、またなんとなく座り心地もよくなるために、脚の底面にコルクの板を切って張り付ける。置く時音もせず、床としっくり密着するので良い感じになる。
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●工夫した点 |
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- 座面を平たいペーパーコードで編んだ点。細い繩状の紐ではなく、テープ状のものにしたため、楽に制作でき、強度も十分なものができた。座るとき、若干コード同士がこすれて軋る音がするが、ご愛敬、手作り感があってよい。
- 枠の組み立てを、ほぞとほぞ穴の組み合わせで作った点。金具や釘を使わずくみ上げると、何となく、やっぱり良いなと思う。また、角ノミ機やテーブルソーなどがない中で、鋸とノミなどの手工具で作成した点。これはやはり、工夫はしたが、時間もかかり、正確性にも劣るので、次に作るときにはぜひ電動ツールを揃えたい。
- 工夫したが結果的にうまくいかなかった点として、脚の水平がある。結局、接合部の加工の精度に行き着くが、接着時の固定方法にも一因がある。和室の重いテーブルを重しにすれば、水平になるだろうという安易な考えではやはり限界があった。最終的には、脚の接地面に張ったコルクの厚みを、1本の脚だけ若干高くして水平を出さざるを得なくなった。これは、アドホックに対処はしたがうまくいかなかった反省点である。究極的には、椅子の制作に限らず全ての木工のためには、きちんとした水平の保証できる作業スペースが必要と言うことを実感した。
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