道具考

能楽鑑賞入門を聴く

能楽鑑賞入門を聴く・その2、道具考・その6 〜 道具としての能面

前回の続きで、NHKカルチャーラジオ・芸術その魅力の「能楽鑑賞入門」を聴いて考えたことを書く。 恥ずかしながら、この講座を聴くまで、能が仮面劇であるということを認識していなかった。言われてみれば、確かに能舞台にいる役者さん(能楽師という)は...
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道具考・その5 〜 包丁に切らす

File source:  2019.3.9の朝日新聞の折々のことばというコーナーに、鯨の解体職人さんが言った、こんなことばが載っていた。「包丁で切るのではなく、包丁に切らすっていうのは、むずかしいのさ。」この、”包丁に切らす”という言葉が...
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道具考・その4~単なる道具以上の何か

道具には、単なる道具以上の何かがあると思う。機能美と言ってしまうと簡単だが、その一言では全く表現できない奥深さがあるように思う。 例えば包丁。包丁は食材を切る道具であるが、包丁自体の持つ曲線や、刃物の質感、切り心地などに、単に切断する道具と...
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道具考・その3~「食物は道具ではない」 道具の定義

この2回、道具について書いてきて、一体、道具とは何だろうか?、と自分なりの定義をしてみたくなった。まずは、広辞苑を引いてみる。いきなり「仏道修行の用具」とあり、アハ!「道具」と聞いて、仏教を思い浮かべる人は、100万人に1人ぐらいだろうか。...
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道具考・その2~「身体は道具か?」 テツガクと日本の伝統文化

「身体は道具か?」今更ながら、問うてみたい。前回、道具を磨くことは腕を磨くことと言った。その視点では、身体と道具は一体であり、確かに身体は道具としての面を持っている。身体は、歩くことで身を運び、目という道具を使って外の世界の映像を身体内に導...
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道具考・その1~「弘法こそ筆を選ぶ」

「弘法筆を選ばず」と言う格言がある。確かに一面の真実だとは思うが、全く賛同できない。私の感覚では、「弘法こそ筆を選ぶ」である。文字の達人たる弘法太子こそ、筆や墨、紙などの道具にはとことんこだわったに違いないと思う。自分の経験からは、何か作品...