科学考

境界考

境界考・その2 ~ 事象の地平

2025年2月時点で分かっている、地球から一番近いブラックホールは、へびつかい座の方向に、およそ1,600光年離れたところにある「ガイアBH1」という星である。(2022年のNewsWeekの記事による)地球から銀河系の中心までの距離は、約...
AI考

サイエンスとアート・その1 〜 相補的関係

息子に勧められて、山口周さんの「世界のエリートはなぜ美意識を鍛えるのか?」を読んでみた。今までの経営はサイエンス偏重だったが、これからの時代、サイエンス的な思考だけでは行き詰まる。アート思考を経営に取り入れるべき、という論である。なかなか鋭...
旅考

旅考・その2 ~ ペイル・ブルー・ドット

ボイジャーは、1977年にアメリカ航空宇宙局 NASA が打ち上げた惑星探査機で、2023年現在、地球から230億kmの彼方を、時速約6万kmで飛び続けている。1号、2号と2台あって、それぞれ別の方向に飛んでいるが、地球からの距離はだいたい...
科学考

見た目と中身・その3、科学考・その13 ~ 実在論と実証論

量子力学で言う「量子」はまったくとらえどころがない。何せ、観測されるまでどこにあるのか原理的にわからないのだ。実験のやりかたとか精度とかの話ではない。「観測」という行為と量子の「存在」という2つの事柄が、この世界では分かちがたく結びついてい...
科学考

科学考・その12 〜 宇宙は暗くない

File source:  前回の科学考で、夜の暗さは宇宙が暗闇であることの証拠だと書いたが、C.ロヴェッリさんの「すごい物理学講義」を読んでいて、訂正しなければ、と思った。それは、宇宙背景放射と呼ばれる電波の存在である。ビッグバン直後の高...
科学考

科学考・その11 〜 夜の暗さは地球自身の影=宇宙の暗さ

File written by Adobe Photoshop? 4.0 先日のこと、会社帰りに最寄り駅の地下道を出ると、西の空に、日没からしばらくしてわずかに紺色の残る暗闇が広がっていた。そのとき、この闇は地球自身の影なんだ、としみじみと...
科学考

科学考・その10 〜  現代科学と主体的に生きること

ニュートン力学は正しいが、その適用範囲は、対象物が光の速さより十分に遅い場合に限る。エンジェルスの大谷選手は時速160kmのスピードボールを投げるが、光の速度に比べれば1000万分の1程度なので、世界的な豪速球と言えども、ニュートン力学で十...
役にたたないこと

役に立たないこと考・その2 〜 オカザえもんと巨大加速器

愛知県岡崎市のご当地キャラクター「オカザえもん」の生みの親のデザイナー、斉と公平太さんが、「美の二重基準」ということを言っていた(2019年3月1日の中日新聞に掲載)。二重基準とは、美術の専門家の世界の基準と、それ以外の一般の人の基準の2つ...
科学考

科学考・その8~プランク定数と単位の深淵

前回、1kgの定義がプランク定数を元にして決められるものに変わるという話題を取り上げた。その記事を書くとき、Wikipediaの「キログラム」のページに、”これはプランク定数がもはや実験値ではなく、定義定数となることを意味する。”と書いてあ...
科学考

科学考・その7〜1kgの定義と身体感覚

これまで、1kgとは、パリ郊外の国際度量衡局に保管されている金属の塊「国際キログラム原器」の重さ、と定義されていた。しかし、この科学技術の発達した時代に、いかに厳重に保管されているとは言え、未だに金属の塊の重さを基準としているのはいかがなも...