科学考

帰納の時代

科学考その6・帰納の時代その5~ベイズ統計の帰納的な世界

量子力学で、今もわかってない基本的な問題の1つに、波束の収束問題がある。量子力学で扱う粒子は、観測するまでは空間的な広がりを持っていて、存在確率の空間分布(確率波)でしか記述できないが、観測した途端に、一瞬にして観測したその1点に収束するこ...
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科学考・その5 ~ 4分33秒と騒がしい真空

最近、新聞のコラムで、ジョン・ケージの4分33秒についての短文を読んだ。ジョン・ケージはアメリカの現代音楽家で、「4分33秒」とは、一定時間の無音状態を表現したこの曲(?)の通称である。この無音の楽曲のことは、以前何かで読んで知ってはいたが...
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科学考・その4~立花隆の「小林・益川理論の証明」を読む

最近、ヒッグス粒子発見のニュースがあったばかりだが、その前後から、何となく物理関係の本がマイブームになっていて、何冊か乱読している。ベストセラーになった、大栗博司さんの「重力とは何か」(幻冬舎新書・2012年)とか、フランク・ウィルチェック...
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科学考・その3 ~ 「村上和雄とサムシング・グレート」

2006年に、村上和雄さんの講演を聞いたことがある。話し上手な先生で、話に引き込まれて聞いていた思い出がある。いくつか話の内容を覚えているのだが、特に「サムシング・グレート」の話が心に残っており、その後村上さんの著書を何冊か読んだ。生命科学...
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科学考・その2~「iPS細胞の科学と技術」

最近iPS細胞の研究成果がしばしば新聞紙上を賑わしている。そこで、iPS細胞についての解説書を2冊ほど読んでみたのだが、確かにすごい技術である。でも、いろいろと疑問が湧き上がってきた。まず、これは、科学なのだろうか、技術なのだろうか?アルキ...
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科学考・その1~「細分化と統合化」

「科学的」という言葉は、「細かく部分に分けて単純化して考える」というニュアンスが、未だにあるように思う。確かに現代に至るまで、そのような「細分化」の考え方で、多くの事柄が理解され、世の中を便利な方向に発展させてきた。言うまでもなく、科学は現...