Deep Breath

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なりよく生きる

time 2015/02/07

 「なりよく」。多分、三河弁でも、ごく狭い地域、あるいは、昭和の時代に使われていた言葉ではないかと思う。最近、この言葉が自分の生きる上での重要なキーワードになっているような気がしている。

無理な力がかからないように、自然の向かう方向に、逆らわずに、と言ったニュアンスをもつ言葉。漢字を当てれば、成り良く、なのだろうが、ひらがなのほうが無理なくという感じが出るので、ひらがなで書く。

この言葉は、もう30年近く前に亡くなった、私の母方の祖母が使っていた言葉だが、こんなシーンで言われたのを覚えている。私がまだ小さい子供の頃、服を着る時に、腕をうまく服の袖に通せず、無理やり着ようとしていた時、「としくん、なりよく着んといかんよ。」(私は子供の頃、祖母からとしくんと呼ばれていた。)無理な力を入れずに、袖の場所を良く見て、自然に腕を通せば、うまく、素早く、気持ちよく着られるよ、ということを、「なりよく」と言ったのである。

何がきっかけなのかはわからないが、最近、よくこの言葉が思い出されて、思いのほか、深い意味があるのではないかと気付いた。単に無理なくという意味にとどまらず、「なり」(成り)という言葉には、自然の成り行き、そのものが本来持っている自然な状態に向かう方向に、という意味があるように思う。その状態に落ち着くように、逆らわず、力まず行動すること、それが、自分も無理なく、そのものも本来の力を発揮することができる、「なりよい」生き方なのだと思うようになった。

去年(2014年)は、ディスニー映画のアナと雪の女王がブームだったが、その主題歌(の日本語版)のサビの歌詞は、ほとんどの日本人が口ずさんだことがあると思うが、「ありのぉ~、ままのぉ~、姿見せるのよ~」というものだった。「ありのまま」は、素のまま、飾らない、といった意味合いで、方向性は持っていないが、「なりよく」は、この、ありのままの状態に近づくように、という方向性を持った言葉だと思う。この歌に人気があるのは、この、閉そく感漂う時代に、多くの人が「ないよい」世の中や、生き方を望んでいるからではないかと思う。
2015.2.7(土)

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Toshi's Profile

会社員(製造業・雇用延長)。元SE、元大学非常勤講師、元ロルファー。DIYと散歩とメモが趣味。Moleskineを持ち歩いている。愛知県岡崎市在住。
toshi@ueba.sakura.ne.jp
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