Deep Breath

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ウォーキング考・その1~「歩く、ということ」

time 2009/11/21

 「歩く」ということについて考えることが多い。ロルフィングは、姿勢と呼吸と歩行の改善活動という一面があり、セッションでは、歩行の感覚も重視する。そこから、ロルフムーヴメントをベースとしたウォーキング講座などにも発展した。ウォーキング講座に来てただいている方々は、私の講座の進め方にも慣れてきて、歩く際の、自分の体の感覚を感じるコツを、楽しく身に付けておられるようであり、私も楽しくご一緒させていただいている。

ヒトと言う種が、いわゆる直立2足歩行を始めたのは、およそ400万年前と言われている。初めて2本足で大地に立ったのは、アウストラロピテクスという私たちの遠い祖先だったらしい。400万年と言うと、気の遠くなるような長い時間のように感じるが、恐竜が地球に現れたのが、2億数千万年前、ゴキブリに至っては3億年前にこの地球に出現している。人が2本足で歩き始めたのは、ゴキブリの歴史に比べるとたった80分の1程度の期間に過ぎない。ゴキブリがお年寄りの年齢だとすると、人類はまだ1歳の赤ん坊なのである。ゴキブリは、生き物としては老舗のご隠居、人間は生意気な新参者と言ったところが正しい認識であろう。

とは言え、私たちは、400万年もの長い間、地球上を2本足で立ち、歩いていることになる。だから、現在の人間の2足歩行は、400万年の間に培われてきたそれなりに自然の摂理に従った形と動きであるとは思う。ただし、今の2足歩行の形や動きは、あくまでも進化の途上にあるものであることは間違いない。歩行だけでなく、そもそも生命というものは、常に時間の経過と共に変化するものであり、不変なものではありえない。従って今の人間の外観も歩行のありかたも、数百万年とか数千万年の単位で見れば、当然変化する定めのものである。その意味で、今現在、重力に対して垂直に立ち、歩いている私たち人間の不思議さを思う。

それにつけても、ここ最近数百年間の人間の生き方の変化は、とても気になる。産業革命の起こる約300年前までの、およそ399万9700年もの間、ヒトは歩く生き物だった。ある程度長い距離も、歩いて移動するのがヒトだった。しかし人類の歴史の、たった0.0075%の期間で、ヒトの移動手段は、歩くことから、座席に座ってアクセルを踏むことや、空を飛ぶ乗り物の座席にただ座っていることに変わってしまった。良いか悪いかは別として、歩かずに長距離を移動する能力を得たことは、生態系として、大きな変化である。このことが、400万年続いてきたヒトの「歩行」という能力や、身体の形状に影響を与えないはずはないと思う。ゴキブリ様に言わせれば、たかだか300年程度でガタガタ言うなということであろうが。

好きな曲に、Greeeenの「歩み」という曲がある。J-Popなぞ、若い人の音楽だと思っていると大間違い。若い世代にも、「歩く」と言うことが、人生をまじめに「生きる」ということだと、ほんとに実感している人達がいることがわかって心強い。心が弱くなってめげそうな時に、じんわりと勇気をくれる、人生の応援歌である。『気付けばいつか見える明日、どんな一歩も無駄にはならない。大切な今、日々の中で、ただ胸張って”歩み”続けよう!』
2009.11.21(土)
写真:Greeeen「歩み」

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Toshi's Profile

会社員(製造業・雇用延長)。元SE、元大学非常勤講師、元ロルファー。DIYと散歩とメモが趣味。Moleskineを持ち歩いている。愛知県岡崎市在住。
toshi@ueba.sakura.ne.jp
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