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部分と全体 その2 ~イギリスとEUと世界~

time 2016/07/01

先日、イギリスでEU離脱か残留かの国民投票が行われ、離脱派が勝利した。離脱派の不満を和らげるために、とりあえず国民投票をやっておこうと言う目論見が裏目に出て、キャメロン首相は即日辞意表明、為替相場や株価にも影響が出て、世界中がざわついている感じである。

EUとイギリスのような、組織とその構成要員の関係は、部分と全体の典型例である。少し前に、文とそれを構成する語の関係を端緒に、部分と全体に思いを巡らせていたこともあり、部分が全体に与える影響の大きさと言う意味で、今回、規模の大きな事例に出会ったなと思った。影響の大きさと言う意味では、イギリスがEUと言う全体から離脱するということが、EUを超えて、EUを部分とする世界全体に影響を与えた形である。

もはや、EUの崩壊は止められないように見えるし、それは悪いことばかりではないだろう。ヨーロッパが1つにまとまっていなければならないとは思わない。言っておくが、私はイギリス国民でもないし、ましてや離脱派でもない。できれば日本に影響の少ない残留派が勝ってくれた方がよかったと思っている。しかし、仮定の話として、日本が東洋連合のような組織の一員で、今のイギリスのような状況だったら、日本でも離脱派が勝利してしまうかも知れないとも思うのだ。内向きで排他的な考え方には、容易に染まってしまうもののような気がするし、残留と離脱を善悪で短絡的に論じることはもちろんできないと思う。にもかかわらず、離脱派に何か悪の影を感じてしまうのはなぜなのか、と考えてしまう。

スターウォーズファンであれば、今のEUとイギリスの状況を、エピソード2の冒頭の設定と重ね合わせてみずにはいられないだろう。多分、世界中で多くのSWファンが、EUを銀河共和国に、イギリスを、銀河共和国からの離脱を表明した星々になぞらえて、このサーガの奥深さを改めて噛み締めているのではなかろうか。銀河共和国では、反体制の分離主義者を封じ込める目的で、本性はシスのパルパティーン最高議長が、強大な軍隊を創設し、世界を暗黒面へと導こうとする。

今回のイギリス離脱派勝利は、世界で悪事をはたらくテロ組織の活動と、その影響で増え続ける難民が直接的な原因となっていることは間違いない。まさに、分離主義者のテロ組織が、イギリス国民を操って、世界の分断を推し進めているように見えてしまう。この世にシスの暗黒卿がいたら、テロ組織のリーダーは、こう言うに違いない。「ご安心ください、すべて計画通りに進んでます。」ぞっとする悪夢である。テロ組織の仕掛けたワナに世界がハマっているようにも思われてしまう。世界が協調してテロを壊滅させなければならいこの時に、である。

この現実世界には、ジェダイはいない。それどころか、この世界で勢力を伸ばそうとしているのは、某国暴言王のカードゲーム氏のような心ない人のようである。かの国の指導者に立候補するらしいこの人は、イスラム教とイスラム原理主義の区別もつけられず、テロ組織と同レベルのテロの論理で人々の不安を煽っているようにしか見えない。しかもこの人、イギリスで離脱派が勝利した時、スコットランドに現れたというニュースを見た。まさに分離主義者そのものだと、半ば感心し、同時に呆れ返ってしまった。

良識あるハンバーガーの国の人々には、どうか、良識あるところを見せてほしいと願うばかりである。また、政治的混乱の渦中のイギリスでも、世の中の暗黒面に目を曇らせることなく、良識ある指導者を選んでほしいと願う。

2016.7.1(金)
写真:イギリス(Google Mapより)

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Toshi's Profile

会社員(製造業・雇用延長)。元SE、元大学非常勤講師、元ロルファー。DIYと散歩とメモが趣味。Moleskineを持ち歩いている。愛知県岡崎市在住。
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