2024/04/14

手元の辞書には、「eatは食べることを表す最も一般的な語句、haveは、文脈上明らかに食べることと分かる場合に、eat,drinkの代わりに用いることができる」とか、「eatは、食べる(口に入れる)と言う具体的な行為が連想されるため、食事をするという意味ではhaveを用いることが多い」などと書かれている。そうだったんだ、、、。
アメリカ以外の国では分からないが、私には、彼らが、何でも”have”で済ませているように感じられた。スーパーのレジでは、毎回必ず”Have a good day!”と言われるし、夕方クラスメートにさよならを言うときは、”Have a good night!”。週末になれば、”Have a nice weekend!”。挨拶は、”Have a ~”と言っておけばたいていOKだった。思えば、”have”の大本の意味である、「所有する」と言うのは、今のアメリカ的資本主義文明の根幹を成す言葉である。”have”が濫用されるのも当たり前なのかもしれない。”have”にはその他に、経験だったり、ある行為だったり、人に何かさせたり(使役)、とにかくやたら”have”ですませているように思う。
“have”に勇気をもらったこともある。最後のトレーニングコースの時に、クライアントへのセッションを始める前に、私が緊張した表情をしていたのだろう、アシスタントのCさんが、必ず、”Have fun!”と声をかけてくれた。それで、どれだけ緊張がほぐれ、気分が楽になったことか。今でもアシスタントのCさんの、にっこり笑った笑顔と”Have fun!”を思い出しすと、ありがたく、懐かしい気持になる。
再び、食べる”have”に話が戻るが、食べる”have”は、彼らにはとても重要な感覚に思われた。”have”して、”full”になること、彼らはそれに非常に執着しているように思われた。その対極に、”hungry”があって、彼らはそれを憎んでおり、悪しきものと思っているように見えた。だから、dietは彼らの重要課題であり、日本食ブームの快進撃が続いているのだろう。
私の感覚では、日本で「あぁ、お腹すいた」と言う時は、何か夢中でやっていたことが一段落したような場合に、ふと感じる、半ば充実感を伴った、少し切ない感じをイメージする。ところが、私の出会ったアメリカ人が”I’m hungry.”あるいは、”Are you hungry?”と言う時には、一刻も早く抜け出すべき、憎むべきどん底状態のようなイメージがつきまとい、半ば充実感、などと言うような微笑ましい感触は全く感じられなかった。ただただ”hungry”なのであった。狩猟民族の遺伝子と、農耕民族の遺伝子のなせる言語感覚が現れているように思われて、興味深かった。
今の中学・高校の英語の教科書では、「食べる」”have”が頻繁に出てくると高校生の娘に教えられた。若者が英語圏に行った時には、食べる”have”で”??”にはならないだろう。めでたし。
2009.10.21(水)