Deep Breath

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英語考・その1~”work”

time 2009/10/13

 アメリカ、コロラド州ボウルダーのロルフ・インスティテュートへ初めて行ったのは、2007年6月。英語はそれほど得意ではないが、英語自体はそれほど嫌いではなかったので、まぁ、なんとか英語圏での生活にも耐えられのたかなと、当時を振り返ってみて思う。今回から3回で、ボウルダーでの英語体験から、印象に残った単語を手掛かりに、英語について綴ってみようと思う。英語が得意な人にとっては、レベルの低い話かもしれないが、そこは平にご容赦の程。

ボウルダーでは、ロルフ・インスティテュートの近くの家にホームステイしていたが、ホストファミリーは親切な人たちで、生活自体はそれなりに快適だった。静かな住宅地にある普通の家で、2階の2部屋を貸している。3度滞在したが、いずれも隣部屋は、同じクラスのクラスメートだった。

ある日、キッチンで夕食を食べていると、ホストマザーのJさんが、ボールペンを持ってきて、これあげる、と手渡してくれた。買ったものではなく、何かの粗品のらしき感じだが、しっかりした作りで、書き味もよい。彼女は既に、それと同じボールペンを使っており、使いやすいのが気に入っているので、余分な1本をくれると言う。

“It works well.”と言うのが、彼女の推薦理由だった。work と言う単語は、人が労働するという意味合いで使う印象が強く、それ以外の意味で使った経験がなかった。でも、こんなふうに使うのがイイ感じなんだなと腑に落ちて、なんだか気持よかった。

高校時代に、英文法の授業で、「無生物主語」と言うのを習ったことがあるが、それ以来ずっと、なんとなく違和感があった。何でわざわざそんなこと言うのだろう?主語が生物である必要など全くないのに、わざわざ「無生物」などと言わなくてもよいのに、と思っていた。だったら、中学1年で習う英語では、「生物主語」と言わないといけないんじゃないか、みたいな違和感である。

それが、Jさんの、”It works well.”で解消されたような感じがした。多分、「主語」のことを考えるのではなくて、work の語感が、ボールペンがするすると書きやすい感じなのだろう。ちなみに、高校の頃の参考書を引っ張り出してみたが、無生物主語をとりやすい動詞として、make,cause,take,bringなど、いくつか紹介されていたが、workは現れなかった。

それから数日して、郵便局で小包を送りたいけど、重いと送料がすごく高いのかな?などとJさんに相談したら、いろいろ教えくれた後で、”Does it work?”と聞かれた。ははぁ、work はこんなふうにも使うんだと、また妙に感心した。「どぉ、(私の言った情報は)役に立った?」というのがこの work の意味なのだが、ボールペンが十分に機能する感じと、伝えた情報がその人にとって十分に機能を果たす感じ。どちらも同じ感覚なんだと気がついた。

私は、言葉については結構敏感な方だと思っているし、日本語は母国語で、日本語自体は一応それなりに使えていると思う。人に何かを伝えるとき、本当に伝えたいと思ったら、どんな言語であっても、よく考えて言わないと伝わらないと思う。だから、言語の違いと言うのは、あくまでも、何語であろうとも、その言いたいことの外部表現の違いではある。そうではあるのだが、ここの work みたいな便利な単語に出合うと、言語によって、簡単に言えることの範囲が違うことに今更ながら気づかされる。多分、日本語にも、他の言語から見ると便利な言葉がたくさんあるのだろう。

That pen worked well, but the ink in it has already expired. I hope Ms. J. is doing well now….
2009.10.13(火)

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Toshi's Profile

会社員(製造業・雇用延長)。元SE、元大学非常勤講師、元ロルファー。DIYと散歩とメモが趣味。Moleskineを持ち歩いている。愛知県岡崎市在住。
toshi@ueba.sakura.ne.jp
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