2024/04/14

古代ローマの温泉は有名で、カラカラ浴場という名前は、世界史に疎い自分でも聞いたことがある。ちょっとググってみると、カラカラ浴場は200メートル四方の広さに、高さ40メートルほどの巨大な施設であったらしい。今のスーパー銭湯の数倍以上の広さの施設に、浴槽やサウナ的な温浴施設だけでなく、今で言うと、ショッピングモール、図書館、美術館、レストラン、バー、ジムなどを含む総合レジャー施設だったと言うことだ。古代ローマの貴族はそこで1日中過ごしたと言うことだし、ローマ各地の主要都市には、カラカラのようなレジャー施設が必ず作られていたと言うことなので、ローマの経済力はたいへんなものがあったようだ。
テルマエ・ロマエという映画は、そんなローマの温泉設計技師が、現代日本にタイムスリップしてきて、温泉旅館の娘と繰り広げるコメディで、ローマの温泉設計技師役を阿部寛が、温泉旅館の娘役を上戸彩が演じている。サウナが出てきたかどうかは覚えてないが、温泉が時空を超えてつながるという発想が面白く、濃い顔立ちの阿部寛と、同じく、皇帝役の北村一輝がローマ人にしか見えなかった。なかなかぴったりのキャスティングだった。
テルマエ・ロマエで、タイムスリップしてきた温泉設計技師ルシウスは、日本の温泉文化に触れて感激し、タイムスリップで再びローマに戻ってから、日本の温泉のアイデアをローマでの温泉設計に応用することで、設計者としての名声を得て、皇帝の信頼も勝ち得ることになる。ローマの温浴施設があれほど繁栄した謎を、現代日本の温泉のノウハウがタイムスリップして取り入れられたためだと考えてそれを物語にした、その発想の斬新さがなんとも面白い。原作の漫画の作者ヤマザキマリさんは、とても頭が柔らかい人のようだ。
医師で日本サウナ学会の加藤容崇さんの著書、「医師が教えるサウナの教科書」の中に、世界的に見ても、日本はサウナに安く入れるサウナ天国なのだと書いてあった。ローマのサウナの値段はちょっとわからないが、アメリカではちょっといいサウナは7,000円くらいするものもあって、日本の温浴施設のように1,000円前後でサウナに入れる国はそれほどないらしい。もともと、日本には銭湯文化があったので、今どきのスーパー銭湯的な温浴施設でも、比較的安価に質の良いサウナを利用できるようだ。ありがたき、日本の銭湯文化。
私の行っている大規模温浴施設には、サウナの他にも、ジェット風呂や電気風呂、戸外の大きな露天風呂、寝転ぶと体が半分だけ浸かる浅い風呂など、多種の浴槽がある。多くの人はサウナを利用するが、サウナに入らなくても楽しめる。なので、いつ行ってもたいて混んでいる。最初行ったときは、若い人も自分のようなオジサンも、老人らしき人もいて、みんな、前についているモノをぶらぶらさせながら歩いていたり、寝転んだりしていて、それが、なんだか良い。世代間のギャップが目立つ最近、老いも若きも、裸で同じように楽しめるサウナという施設、これからも日本の銭湯文化を継承するものとして、末永く我々の健康と、「ハー気持ちイー」を提供してほしいと思う。
2022.11.3.木 文化の日
写真:カラカラ浴場 Wikipediaより