Deep Breath

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オンライン考・その1 〜 オンラインとオフライン

time 2020/07/26

 コロナでオンラインが世界中で広がった。90歳になる親が、都会に住む孫とオンラインでコーヒータイムの会話をしているのを見ていると、オンラインは人と人をつなぐ技術であると改めて認識させられる。ビデオ通話は、もう何年も昔からあるサービスだが、今のような事態になるまで一般に普及しなかった理由は、この技術がやっぱりまだ未熟なものだからだと思う。離れた場所にいる人の姿と声が、0と1の2つのバーチャルなデータとなって行き交い、両端のデバイスでリアルに再現される。再現れると言っても、オフラインでリアルに会う人とは程遠いこともまた、広く普及することで多くの人が認識したことだろう。

 オンラインの技術がオフラインを目指してきたことは認める。ベルの時代には音声しかなかったが、画像が送れるようになり、動画を見られるようになった。最近のVRでは触覚や自分の身体の動きに合わせた視覚も伴うリアルさが売りのようだ。今のヘッドセットは、あまりスマートじゃないので装着したくはないが、この技術が進めば、もっとリアルにオンラインで人と人がつながるようになるのだろうか。5Gで更に加速するのだろうか。でも、オフラインで人に会うことと比べると、オンラインはどこまでいってもオフラインには太刀打ちできなさそうな気もする。

 「オフミ」とは、オフラインミーティングの短縮語で、インターネットが普及し始めた頃、メーリングリストや昔のネットニュース(今のYahooNewsのようなニュースではありません、念の為)でインターネット技術に関する情報を共有いていた人たちが、居酒屋や貸会議室などでリアルに集まる会のことをこう呼んだ。今ではあまり聞かないので、もはや死語なのかもしれないが。当時のオフミには酒好きの人も多かったようで、オフミと聞くと大量のアルコールが消費される場という先入観があって、お酒の弱い自分なぞ若干の恐怖を感じて、オンラインの方がよほど気楽だと思ったものだった。オンラインはバーチャルで、オフラインはリアル、ネットの世界では当初からそういうペアーの概念が定着した。

 コロナ以後、オンライン会議だけでなく、就活の面接や婚活でさえオンラインの時代、5GやVRがよりリアルを運ぶ方向に進むのは確実だろう。オンライン飲み会をやっている限り、リアルなウィルスに感染するリスクはないし、飲み屋までリアルな身体を運ぶ手間もなく、自宅でくつろいで飲み会に参加できる。何もリアルに人に合わなくても、それなりにつながれるし、自分のペースで飲めるのもありがたい。最新のオンライン技術がオフラインに近づくことに期待はする反面、オンライン技術は、今ぐらいのバーチャルさ加減のほうが気楽でよいような気もする。

2020.7.26(日)4連休の最終日
写真:ヘッドマウントディスプレイ(フリーイラスト)
カテゴリ:オンライン考・その1 リアルとバーチャルの間・その4

コメント

  • […] オンラインについての記事では、オンライン技術がオフラインをめざして、その間を埋めてきことと、自分にとってはリアルな対面より、現在のオンラインミーティング程度のバーチャルさ加減が心地よいと書いていたり、類似の話題で、メタバースでのアバターという身体的なものと、リアルな身体感覚の間に思いをはせたり、バーチャル世界の通貨とリアル世界の通貨の互換性から、通貨の本質的な仮想性に思い至ったりした。 […]

    by 境界考・その3 ~ 境界と「間」 | Deep Breath €2025年3月29日 11:22 AM

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Toshi's Profile

会社員(製造業・雇用延長)。元SE、元大学非常勤講師、元ロルファー。DIYと散歩とメモが趣味。Moleskineを持ち歩いている。愛知県岡崎市在住。
toshi@ueba.sakura.ne.jp
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