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見た目と中身・その1 〜 チューリングテスト

time 2022/11/12

 チューリングテストとは、1950年に、アラン・チューリングさんが提唱したAIに関連したテストで、以下のように行う。人間の判定者が、キーボードとモニターを通して、AとB、2つの対象と、言語で対話をする。A、Bのどちらかは人間で、どちらかは機械。対話を通して、判定者が機械と人間を区別できなければ、この機械(AI)はチューリングテストに合格したことになる。

 ここでは、モニターに表示される言葉が、テストされるAIの「見た目」になる。つまり、判定者からそれがどう見えているかの全てである。モニターの先には、電源の繋がったデジタルのハコの中で動いているソフトウェアか、あるいはキーボードをたたいている有機物としての人間のどちらかがいる。その実体を「中身」と考える。

 チューリングテストとは、中身はどうあれ、見た目が人間そっくりであれば、AIはある意味で人間と言っていいのではないかというテストである。1950年代にはとても実現しなかったが、2022年の現在、その技術は今や毎日見かけないことはないほど普及した、チャットボットとして生活の一部になっている。ただ、今まで自分が使ったチャットボットで、役立つ返事をしてくれたことは、残念ながら一度もない。AIの技術的には得意分野であるはずなので、自分がたまたまデキるボットにあたってないだけなのかもしれないが。

 ただし、チャットボットは、人間のように答える必要はない。人間よりはるかに広範囲のデータを扱えるのだから、人間が答えるよりも正確で速く、気の利いた返答をしてくれる可能性もある。また、質問者がボットの回答を評価することで、多くの対話を通じて学習して、アルゴリズムやデータなどの「中身」をより良くしてゆけるところがAIの良いところでもある。だから多くのサイトでは、まだ未熟なボットでも公開して使ってもらっている。ユーザーに育ててもらうという発想も、まぁ、今どきでよいように思う。なので、「このボット、使えんな」と気を悪くせず、たまには教えてあげるつもりで接してあげようと思う。

2022.11.12(土)
写真:アラン・チューリング wikipediaより

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Toshi's Profile

会社員(製造業・雇用延長)。元SE、元大学非常勤講師、元ロルファー。DIYと散歩とメモが趣味。Moleskineを持ち歩いている。愛知県岡崎市在住。
toshi@ueba.sakura.ne.jp
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