2024/04/14

ChatGPTについては、いろんなところで解説されているが、2023年4月現在、無料で使えるGPT4ベースのAIチャットサービスは、マイクロソフトのBing Chatだけなので、Bing Chatに、”Bing Chatとは何ですか?”と聞くと、
”Bing Chatとは、Microsoftが開発した新検索エンジンで、対話型言語モデル「ChatGPT-4」を搭載しており、質問に対してまとめて答えを返すことができ、また、信頼できる最新の情報を提供し、出典も示します.”
とのことだ。もう少し詳しく知りたいので、”対話型言語モデル「ChatGPT-4」は、どのようなしくみで質問に対する答えを返すことができるのですか?”と聞いてみると、
“ChatGPT-4は、OpenAIによって開発されたGPTディープラーニングシステムの4回目の反復であり、自然言語処理の分野で最も進んだ技術の1つです. ChatGPT-4は、大量のテキストデータを学習し、人間と同じように自然言語を理解し、質問に対してまとめて答えを返すことができます. ChatGPT-4は、APIを提供しており、それはChatGPT-4に質問したり話しかけたりするための約束事です.”
とのことだ。「人間と同じように自然言語を理解し」の件はおおいに引っかかる点で議論百出だろうし、「4回目の反復」の表現も変だが、まぁこれでもある程度分かるように答えてくれてはいる。でも、これ以上聞いてもちょっと埒が明きそうにないので、もっと詳しく知りたいなら、自分でYouTubeで解説動画を検索するか、日経サイエンスの2023年5月号のChatGPTの特集などを読んでみることをお勧めする。
ChatGPTは、自然言語処理や生成系AIの分野では一つのブレイクスルーには違いない。でも、世の中ちょっと騒ぎすぎじゃないか、とも思う。上記の日経サイエンスの特集記事では、ChatGPTが文章を生成するしくみが解説されているが、早い話、ある語に続く確率の高い言葉を選んで並べているに過ぎない。けれど、その高い確率を見出すのに、膨大な文書を入力として、ディープラーニングの手法で学習させたネットワークの出力を使っているので、本当に人間が生成するような文章ができあがってくる。ブレークスルーには違いないが、原理を知ってしまえば、あぁ、それでこういう答えが出てくるのね、とある程度納得する。
確かに、ディープ・ニューラルネットワークの中の複雑な電気信号の出力は、その挙動を完全に理解したり、制御したりすることは無理だと思うが、やみくもに怖がったり、禁止したり、逆に革命だと騒がなくてもよかろう。必要なのは、生成系AIについての正確な情報を伝えて、正しく理解すること。提供する側も使う側も、悪用されないように努力し、気を配ることが肝心だろう。
2016年にGoogleのAlpha GOという囲碁専用のAIが、人間の世界囲碁チャンピオンを破った時に、このブログに「人類の新たな囲碁友達」という小文を書いた。その中で、プロの囲碁棋士たちが、自分たちを凌駕したこのAIソフトを、敵としてではなくすばらしい手を打つ囲碁仲間としてとらえているのが好ましいと書いた。ChatGPTも、そのときと状況は似ているのではないか思う。人類の膨大な知識をもとに、合ってるかどうかはわからないけど、質問に答えてくれたり、アイデアを出してくれたり、プログラムコードを書いてくれたりする。いろいろ手伝ってくれる仲間の一人と思って付き合ってゆくのが、今のところ良い付き合い方ではないかと思う。自分で書いておきながら、ちょっと楽天的すぎるような気もするが、いろいろ物知りだけど、たまに知ったかぶりもする茶飲み友達ぐらいに考えておいたらどうだろう。でも、GPT君は電気信号の塊なので、お茶は飲めないのがかわいそうだけど。
2023.4.8.土
写真:茶飲み友達(フリーイラスト)