2024/04/14

つい先日、G7のIT相会合が開かれて、生成AIへの規制が話し合われたというニュースを聞いた。文明に影響を与える技術のブレークスルーがあった後、意外と早いタイミングで国際的な動きがあったなと思って、ちょっと関心した。原子力の場合は、実際に爆弾として使用されてしまうという痛恨の経験を経ないと、利用に関する国際的な話し合いが持たれなかったことを思うと、人類も学ぶべきことは学んでいるのだ。とは言えG7なので、国際社会の一部でしかないのだけれど。
世間を騒がせているChatGPTは、生成系AIの1種で、文章を生成するLLM(Large Language Model、大規模言語モデル)と呼ばれるしくみに基づいている。このモデルは、過去から現在までに人類が書いてきた大量の文章を学習して、それをベースに言葉をつむぎ出す。言わばLLMは、過去の人類が考えて書いてきたことの集大成として、文章を出力しているのだと言える。
もちろん、入力となる質問から回答を作り出すまでには、事前に行われた膨大な文章による学習と、それによって作られた何層にもわたるニューラルネットワークの層を通り抜ける。そのニューラルネットを構成するアルゴリズムがあってはじめて、次に出力すべき単語が決められるので、その言語モデルの設計と実装が機械との対話を可能にしているのではあるが、あくまでも出力される文章は、ネットワークが学習した過去の文章がベースであることに違いはない。
そのLLMの利用に規制をかけると言うことは、過去に自分たち人類が言ってきたことに規制をかけるという自己矛盾ではないかとも思ったが、よく考えればそうでもない。人間の言うことなど、所詮矛盾に満ちているのだ。そんな整合性のあることなど、そもそもあまり聞いたことがない。人類とはそういう存在だと深く認識すべきだろう。
まぁ、でも、GPTの利用を禁止していていたイタリアも、OpenAI社から個人情報の保護に関する一定の見解が得られたとして利用禁止を解除したし、G7の規制の内容も、AIが生成した文章や画像に”Made With AI”の表示を義務付ける方針になるということで、規制と言っても、便利に使おうという人たちには影響の少ないユルユルなものになったようだ。GPTのようなテクノロジーの好きな私のような人にとっては良い方向ではある。
ちなみに、この小文は、近所のコメダ珈琲店で、生身の人間がキーボードを叩いて書いているので、LLMが生成したものではありません。念のため。
2023.5.2.火
写真:コメダ珈琲・メニューから